【Gemini失敗談】専属AIシェフが「嘘」をつくので教育したら、今度は「つまらない奴」になってしまった話

ロボットが、参考とするレシピを見つけられず困っている様子と推しのYoutuberの動画を見て料理している画像。 暮らし×最適化

こんにちは、Takaです。

今回は、前回ご紹介した「Google活用・完全自動献立システム」の続編です。 意気揚々と運用を開始したわが家の「専属AIシェフ(Gemini)」ですが、運用を続ける中で「AIならではの嘘(ハルシネーション)」という壁にぶつかりました。期待が大きかった分、これにはだいぶ落ち込みました。

そして、その嘘を止めようと厳しく「教育」した結果、今度は「提案がつまらない奴」になってしまうという失敗を経験しました。

今回は、生成AIを実務や生活に導入する際、多くの人が直面する「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」との戦いと、私がたどり着いた「推しYouTuber」を活用したひとつの解決策について共有します。


前回のおさらい:わが家の「専属AIシェフ」システム

まずは、私が構築したシステムの概要を簡単に振り返ります。共働きで小学生の子ども2人を育てるわが家において、「毎日の献立を考えること」は最大のストレスでした。そこで、以下のフローを自動化しました。

Googleフォーム × Gemini × Keepの連携フロー

  1. データ収集(Googleフォーム): 食事の後、私が家族の様子を見て、その日のメニューを5段階で評価。
  2. 分析と提案(Gemini): 蓄積された評価データをGeminiが読み込み、「家族が高評価をつけそうな来週の献立」をネット上から検索して提案。
  3. リスト化(Google Keep): 決定した献立に必要な材料を自動で書き出し、買い物リストを作成。

これにより、「献立に悩む時間」と「買い物リストを作る時間」をゼロにすることを目指しました。しかし、実際に運用してみると、致命的な欠陥が見つかったのです。

運用してわかった致命的な欠陥「ハルシネーション」

運用開始から1週間。Geminiから提案されたレシピのURLを開こうとしたとき、それは起こりました。「ページが見つかりません」。 さらに、材料リストを見て買い物をしたのに、実際の調理動画を見ると「その材料は使っていない」ということもありました。

これは専門用語で「ハルシネーション(Hallucination:幻覚)」と呼ばれる現象です。AIが事実に基づかない情報を、さも自信満々に生成してしまうことを指します。

AIはなぜ嘘をつくのか?発生した2つの事象

存在しないレシピを堂々と紹介するAIの画像

具体的に、わが家の献立システムで発生した「嘘」は以下の2パターンでした。

事例1:リンクを踏んだら「ページが見つかりません」

テキストベースのレシピサイト(カゴメや味の素など)のリンクは比較的正確でしたが、YouTube動画のリンクに関しては、クリックしても「動画が存在しません」となるケースが多発しました。 Geminiは「それっぽいURL」を文字列として生成してしまい、実在確認までは行っていなかったのです。もう少し厳密にいうと、レシピはきちんと参照しているようなのですが、どのレシピ動画を参考にしているのかが分からなかったのです。同じ料理名でも鶏胸肉と鶏もも肉と違うので、「どれを選んだんだよ」なってしまいました。

事例2:材料リストが「創作」されていた

これが最も厄介でした。例えば「ハンバーグ」というメニューが提案された際、Geminiは実際の参照元レシピ(例:リュウジさんのレシピ)の中身を見ずに、一般的なハンバーグの知識から「ひき肉、玉ねぎ、パン粉、牛乳…」と材料リストを勝手に出力していました。 しかし、実際の動画では「つなぎを使わない」レシピだったりして、買い物リストと実際の調理手順に矛盾が生じ、キッチンに立って、”材料がない”という事態になりました。

失敗談:厳しく禁止したら「つまらないAI」になった

同じレシピばかり提案し、つまらないロボットの画像

「嘘をつくなら、厳しく取り締まればいい」。そう考えた私は、プロンプト(指示文)に厳しい制約を加えました。

ハルシネーション禁止プロンプトの導入

具体的には、以下のような強い命令文を追加しました。

  • 検索したページまたは動画概要欄から、正確な「材料リスト」を読み取る。
  • 料理名から材料を想像してリストアップすることを固く禁じる。検索結果にない材料は書かないこと。

これで正確性は担保されるはずでした。しかし、結果は予想外のものでした。

結果:DELISH KITCHENばかり提案してくる

正確にはなりました。しかし、提案されるレシピが、大手レシピサイト(DELISH KITCHENやCookpadの公式レシピ)の、非常に無難なものばかりになってしまった(※)のです。

理由をGeminiに尋ねて推測すると、「テキストデータが構造化されていて読み取りやすく、間違いが起こりにくいサイト」を安全策として選ぶようになったようです。 これでは、「今日はどんな料理だろう?」というワクワク感が消滅し、単なる「検索エンジンのまとめ」と変わりません。面白みのない「つまらないAI」になってしまったのです。
※DELISH KITCHENやCookpadのレシピは私も好きです。批判するものではありません。

解決編:「推しYouTuber」指名でワクワクを取り戻す

ワクワク感を取り戻したAI専属シェフ

「正確性」と「提案の面白さ」をどう両立させるか。試行錯誤の末、たどり着いたのが「ソース(情報源)を信頼できるクリエイターに限定する」という方法でした。

ソースを「信頼できるクリエイター」に限定する

プロンプトを「間違いを犯すな」という禁止型から、以下のような「指名型」に変更しました。

「献立の提案は、YouTubeチャンネル『料理研究家リュウジのバズレシピ』または『Koh Kentetsu Kitchen』の動画の中から行ってください」

わが家の味の好みに合う、信頼できる「推しYouTuber」を名指ししたのです。

埋もれていた名作レシピとの出会い

これによりAI専属シェフの面白さが復活しました。 特定のチャンネル内に検索範囲を絞ることで、AIは彼らの膨大な過去動画の中から、季節や食材に合ったものを発掘してくるようになりました。

  • 味の保証(安心感): 「リュウジさんのレシピなら、多少手順が変でも味は間違いない」という信頼がある。
  • 新発見(ワクワク): 自分ではクリックしなかったであろう、数年前の「隠れた名作レシピ」が提案される。

「嘘をつかせない」ためにガチガチに縛るのではなく、「信頼できる情報源」の中で自由に遊ばせる。これが、現時点での最適解でした。

今後の課題:Instagramという「壁」

現在、このシステムは順調に稼働していますが、一つだけ課題があります。それは「InstagramなどのSNSレシピからの引用」です。

なぜインスタのレシピは提案されないのか

妻からは「インスタのリール動画で流れてくるような、映えるレシピも提案してほしい」と言われるのですが、現状の私のプロンプトではこれが難しいのです。 Instagramは画像や動画が主体で、YouTubeのように「概要欄に詳細なレシピテキストがある」とは限りません。AIにとって、インスタのような「非構造化データ」から正確に材料や手順を抽出するのは、まだハードルが高く、優先度が低くなってしまうので、今週の献立として提案の候補にまで上がってきません。今後の課題としては推しのインスタグラマーを入れたらきちんと献立提案してくれるのかを検証していきたいと思います。

効率化と「選ぶ楽しさ」のバランス

今回の検証で学んだことは、「AIは最もらしい嘘をつく」、「完全に自動化・正確性を求めすぎると、結果が機械的でつまらなくなる」ということです。

AIにすべてを丸投げするのではなく、「誰のレシピなら許せるか」「どの情報源なら信頼するか」という人間的なフィルタリング(好き嫌い)を介在させることが、AIと上手く共存し、生活を豊かにする鍵だと感じました。

もし皆さんが生成AIを使っていて「回答がつまらない」「嘘が多い」と感じたら、ぜひ「信頼できる情報源(推し)」を指定してみてください。AIの挙動が、ガラリと変わるはずです。

今後のアクション

皆さんも、まずは「自分の好きな料理研究家」を一人決めて、GeminiなどのAIに「〇〇さんのレシピの中から、今晩のおかずを考えて」と投げてみてはいかがでしょうか? 意外な名作と出会えるかもしれませんよ。

参考まで、新しいプロンプトの雛形を公開しておきます。記事本文で「右上の『コピーする』ボタンを押して、ChatGPTやGeminiに貼り付けてください。[★...] の部分だけ自分の好みに書き換えればすぐに使えます。

プロンプトを表示/コピー
以下の情報を元に、来週1週間分の献立と買い出しリストを提案してください。

# 1. 前提データ(ここを自分の情報に書き換えてください)
- **参照データ:** Googleドライブ内にあるスプレッドシート「[★ここにファイル名を入れる]」
- **家族構成:** [★例:大人2名、小学生2名(食べ盛り)]
- **分量基準:** 全て[★例:4人前]で計算
- **好みの料理チャンネル(優先採用):**
    - [★例:リュウジのバズレシピ]
    - [★例:Koh Kentetsu Kitchen]
    - [★例:料理のほそ道]
    - [★その他、好きなYouTuberを入力]
    - ※企業系(デリッシュキッチン等)は、他に良い動画がない場合の「予備」としてください。

# 2. 曜日別ルール(スケジュールの変更があれば修正してください)
- **日曜:** [★例:ホットプレート料理(家族団欒)]
- **月曜:** [★例:肉料理(翌日のお弁当に入れやすいもの)]
- **火曜:** [★例:魚料理]
- **水曜:** [★例:丼もの(手軽に)]
- **木曜:** [★例:宅配・固定メニューのため提案不要]
- **金曜:** [★例:外食(提案不要、予定のみ記載)]
- **土曜:** [★例:余り物活用・麺類など]

# 3. 提案プロセス(ハルシネーション防止手順)
以下の手順を**必ず**順番に実行してください。

1. **在庫確認:** 会話内で指定された在庫があれば最優先してください。
2. **メニュー決定:** 過去データ(スプレッドシート)と曜日ルールに基づき決定してください。
3. **【重要】事実確認と検索:**
    * 決定したメニューについて、指定した「好みの料理チャンネル」を中心にYouTube検索を実行してください。
    * 採用元の**「動画タイトル」**と**「チャンネル名」**を控えてください。(URLは不要)
    * 同じチャンネルからの採用は「週に2回まで」とし、バラエティを持たせてください。
    * 動画の概要欄等から「材料リスト」を確認してください。
    * **重要:** 動画内で分量が「適量」や記載なしの場合、**無理に数字をでっち上げず**、正直に「(動画内で確認)」や「適量」と記載してください。

# 4. 出力形式

**【週間献立表】**
| 曜日 | メニュー名 | 参照動画(タイトル / チャンネル名) | メモ |
| :--- | :--- | :--- | :--- |
| ... | ... | ... | ... |

**【買い出しリスト(カテゴリ別・[★○人前])】**
検索した実際のレシピに基づき記載してください。
* **記載ルール:** 概要欄に分量があるものは記載(例:豚肉 400g)。記載がない、または「適量」の場合は「豚肉(※動画で量を確認)」のように注釈を入れること。
* **嘘をつかない:** 分量が不明な時に勝手に数字を生成しないでください。
* **除外:** 提案不要な曜日(外食や宅配など)の食材はリストに入れないでください。

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